祠
いつも昼ごはんを食べてる公園のベンチに座ると、目の前の木の根元に祠のようなものがあった。
ゴールデンウィークの子供達が作ったんかな。
しかしよく見ると結構手が込んでいる。
大人の手も加わってるのかな。
平和だね。
公園で昼食をとるようになって、4、5年(たぶん)になる。
もう達人である。(なんの?)
雨上がりの日には、手ぬぐいを半分に折り、間にビニール袋を挟む。
それをベンチに置くと濡れずに座れる。
手ぬぐいは汚れても、仕事がクリーニングなのでなんとかなる。
そして普段と違う天気の時も、かえってなんか楽しい。
鳩なんかが気持ち良さげにしているのを見ると、鳩のように自分の中の野生が満たされるのを感じる。
元々、公園で昼休憩をとるようになったのは、股関節痛をやってからである。
ほんとに椅子にも座れない状態になり、歩けばマシになるということで、休み時間に外に出るようになった。
その時にメンタルにすごく良いことに気づいてしまった。
セロトニンでも出るんだろう。
それから、公園で遊ぶ子供を見るのも好きだ。
無邪気なこと。
こっちもつられて無邪気さを少し思い出す。
親戚のおばさんから電話があった。
子供の頃に可愛がってもらったおばさん。
もう90手前なのだけど、ぼくの母の墓参りに行ったよ、という電話だった。
おばさんは結婚するまで、ぼくの母ちゃんや爺ちゃんたちと一緒に暮らしてたんだよね。
ぼくが生まれるはるか前のこと。
人それぞれ思いがあるね。
おばさんの声が、ほんとにとても優しくて、泣きそうになった。
というか、少し涙が出た。
金曜ロードショーでやってた「君たちはどう生きるか」を観た。
鳥男が出るくらいしか知らずに観始めたら、いきなり母親の死で始まり、その後も母親に関して結構キツいな、と思って観てた。
録画なので、半分くらいでとりあえずその日は寝よう、と中断した。
次の日に後半を観たら、その母親の死に関してちゃんと昇華してて、その点だけでもとても良かった。
すごく暗喩を多用したストーリーなので、分かりにくいとか意見は分かれてるようだけど、ぼくはもう母親の描き方だけでとても良い映画だと思った。
この登場人物は高畑薫とか鈴木プロデューサーのイメージだろうなとか思って観てたけど、たぶんその辺りを紐解いてもそんなに意味なさそうだ。
とりあえずぼくにとっては。
ぼくが良いと思ったのは、ヒミという女性の描き方。
年齢、性別、親子、時間、そんなのを超越して、異性や親としてでなく、この世界にやってくる魂として主人公と並んでいた。
肉体がないからか、親だからか、はたまた監督が年齢的に枯れたからか、今までのヒロインにいつも薄っすら描いていた性(エロス)が無い、それがいい。
ぼくは、はるか昔、好きな異性のタイプを聞かれると、ナウシカのような人、と答えていた。
ヒミはナウシカより良かったな、と思う。
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