短編小説
なんかブログに、頭の中にある事を書ききれないな、と思ってた。
どうも、個人が全面的に出過ぎる感がある。
こりゃ、架空の話を書いた方が書きたい事かけるかもな、と思い短編小説風に書いてみた。
ショートショートっていうんかな?
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極楽蝶
「強い感情があるとね、自分と世界の境界が薄くなるんだと思うの。例えばね、激しい恋をしている時、その相手の心に届きたいという想いが、あなた自身の膜みたいなのを薄くするの。だから自分の周りに偶然が多く起こるように感じるの。集合的無意識やシンクロニシティって言葉、聞いた事ある?自分を深く掘り下げて行くと、世界と繋がるらしいの」
少し分かるような気もする。ぺぺさんは哲学を専攻しているだけあって、他の人には言えないような相談にものってくれる。
「じゃあ、蝶に亡くなった人の魂が宿る事ってあるんですかね?」
僕はこの前の蝶の話を、ぺぺさんに話したのだ。
「その質問に答えるには、まず死んだ後にも魂が残るのかどうかが問題になるわね。私は個人的に、霊魂の存在は信じていない。私が信じるのは”想い”。なぜか直感的に、”想い”だけは時間に関わりなく存在すると思うの。その、”想い”の微弱なエネルギーが、蝶という形をとって現れたんじゃないかな」
「うーん、そういう考えなら納得できる」
僕はちょうど一週前、従兄弟の柔道の試合を見に、聡子の母校を訪れた。聡子は僕が恋をしている女性であり、遠い親戚でもある。その柔道の試合を観ながら、僕は聡子の事を考えていた。夏の熱は、体育館の中までは届いていない。
ふと、視界にアゲハ蝶が入ってきた。試合見物をしている僕らの周りを飛んでいる。この前のお盆に、祖父の家の庭でバーベキューをした時に見たアゲハ蝶と同じように、僕らの周りを飛び回っている。その時の蝶は、まるで楽しそうな僕ら家族を見守っているようだった。祖父が「おう、極楽蝶じゃのう」と言ったのをよく覚えている。
その時僕は直感的に、この蝶は僕の所に来る、と思った。なぜそう思ったのかは分からない。
ふと、それが当然だと思ったのだ。その蝶は、ゆっくりと僕の指にとまった。そのまま、僕の指にとまり続け、僕は従兄弟の試合を観ていた。従兄弟は、同じ様な体格の相手に負けてしまった。彼は彼なりに柔道部の主将になってからの、強い想いがあったのだろう。悔しさで泣いていた。男泣きしている彼の成長を見て、僕は温かい気持ちになった。そして蝶は飛んで行き、僕はもう一度聡子に気持ちを伝えようと決心した。
「ぺぺさん、話を聞いてくれてありがとう。僕にとっては大事な出来事だったから、偶然で片付けてしまうのも、オカルト的にしてしまうのも嫌で、持て余してたんだ。なんだか話を聞いて貰ってスッキリしたよ」
僕はそうお礼を言った。
「そういうものよ。今度は、あなたが誰かのいい聞き役になる番かな。不思議な出来事をプラスにもマイナスにも判断せず、そのまま心の中に置いておくの。そしたらあなたは、いつか色んな人の話を聞いてあげれる人になるわ」
僕は、ぺぺさんに質問した。
「ぺぺさんは、なんでぺぺさんと呼ばれるようになったんですか?」
ぺぺさんの事をあまり知らない事に気づいたのだ。
ぺぺさんは、秘密、と言って微笑むだけで教えてくれはしなかった。
どうも、個人が全面的に出過ぎる感がある。
こりゃ、架空の話を書いた方が書きたい事かけるかもな、と思い短編小説風に書いてみた。
ショートショートっていうんかな?
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極楽蝶
「強い感情があるとね、自分と世界の境界が薄くなるんだと思うの。例えばね、激しい恋をしている時、その相手の心に届きたいという想いが、あなた自身の膜みたいなのを薄くするの。だから自分の周りに偶然が多く起こるように感じるの。集合的無意識やシンクロニシティって言葉、聞いた事ある?自分を深く掘り下げて行くと、世界と繋がるらしいの」
少し分かるような気もする。ぺぺさんは哲学を専攻しているだけあって、他の人には言えないような相談にものってくれる。
「じゃあ、蝶に亡くなった人の魂が宿る事ってあるんですかね?」
僕はこの前の蝶の話を、ぺぺさんに話したのだ。
「その質問に答えるには、まず死んだ後にも魂が残るのかどうかが問題になるわね。私は個人的に、霊魂の存在は信じていない。私が信じるのは”想い”。なぜか直感的に、”想い”だけは時間に関わりなく存在すると思うの。その、”想い”の微弱なエネルギーが、蝶という形をとって現れたんじゃないかな」
「うーん、そういう考えなら納得できる」
僕はちょうど一週前、従兄弟の柔道の試合を見に、聡子の母校を訪れた。聡子は僕が恋をしている女性であり、遠い親戚でもある。その柔道の試合を観ながら、僕は聡子の事を考えていた。夏の熱は、体育館の中までは届いていない。
ふと、視界にアゲハ蝶が入ってきた。試合見物をしている僕らの周りを飛んでいる。この前のお盆に、祖父の家の庭でバーベキューをした時に見たアゲハ蝶と同じように、僕らの周りを飛び回っている。その時の蝶は、まるで楽しそうな僕ら家族を見守っているようだった。祖父が「おう、極楽蝶じゃのう」と言ったのをよく覚えている。
その時僕は直感的に、この蝶は僕の所に来る、と思った。なぜそう思ったのかは分からない。
ふと、それが当然だと思ったのだ。その蝶は、ゆっくりと僕の指にとまった。そのまま、僕の指にとまり続け、僕は従兄弟の試合を観ていた。従兄弟は、同じ様な体格の相手に負けてしまった。彼は彼なりに柔道部の主将になってからの、強い想いがあったのだろう。悔しさで泣いていた。男泣きしている彼の成長を見て、僕は温かい気持ちになった。そして蝶は飛んで行き、僕はもう一度聡子に気持ちを伝えようと決心した。
「ぺぺさん、話を聞いてくれてありがとう。僕にとっては大事な出来事だったから、偶然で片付けてしまうのも、オカルト的にしてしまうのも嫌で、持て余してたんだ。なんだか話を聞いて貰ってスッキリしたよ」
僕はそうお礼を言った。
「そういうものよ。今度は、あなたが誰かのいい聞き役になる番かな。不思議な出来事をプラスにもマイナスにも判断せず、そのまま心の中に置いておくの。そしたらあなたは、いつか色んな人の話を聞いてあげれる人になるわ」
僕は、ぺぺさんに質問した。
「ぺぺさんは、なんでぺぺさんと呼ばれるようになったんですか?」
ぺぺさんの事をあまり知らない事に気づいたのだ。
ぺぺさんは、秘密、と言って微笑むだけで教えてくれはしなかった。
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