昨日は淀川花火をやってた。
家から少しだけ見えた。
子供らが喜んでたが、僕は隔離中なので、もちろん一緒に見れない。
ワイワイという声で楽しくなった。
熱を計ったら37.1度だった。
峠は越えたんだろうか?
微妙に上半身が痛い。
関節痛なのか、肺が痛いのか、よくわからん。
酸素飽和度の測定装置が届いたので、計測したところ問題なし。
ひと安心。
何となくジャズを聴く。
ビル・エバンスくらいが丁度よかった。
Youtubeではこの人達が良かった。
Walk off the earth
家から少しだけ見えた。
子供らが喜んでたが、僕は隔離中なので、もちろん一緒に見れない。
ワイワイという声で楽しくなった。
熱を計ったら37.1度だった。
峠は越えたんだろうか?
微妙に上半身が痛い。
関節痛なのか、肺が痛いのか、よくわからん。
酸素飽和度の測定装置が届いたので、計測したところ問題なし。
ひと安心。
何となくジャズを聴く。
ビル・エバンスくらいが丁度よかった。
Youtubeではこの人達が良かった。
Walk off the earth
コロナ陽性になってしまいました。
なんてこった、、
これまでの経過を記します。
25日早朝、寒気感じる。検温38.8度。発熱外来に電話。30分繋がらず、9時半に繋がる。12時前に検査。陽性なら電話あるとの事。検査費、3080円なり。13時頃電話あり。ネットでの経過観察ページに登録。解熱剤服用。9月4日まで待機予定。今のところ喉の痛み、咳無し。しばらく休む。38度まで下がる。
26日、早朝。38.9度。一日中寝て過ごす。喉に僅かな違和感あり。咳無し。家族発熱無し。
27日、早朝。37.5度。少し楽になる。
なんてこった、、
これまでの経過を記します。
25日早朝、寒気感じる。検温38.8度。発熱外来に電話。30分繋がらず、9時半に繋がる。12時前に検査。陽性なら電話あるとの事。検査費、3080円なり。13時頃電話あり。ネットでの経過観察ページに登録。解熱剤服用。9月4日まで待機予定。今のところ喉の痛み、咳無し。しばらく休む。38度まで下がる。
26日、早朝。38.9度。一日中寝て過ごす。喉に僅かな違和感あり。咳無し。家族発熱無し。
27日、早朝。37.5度。少し楽になる。
ミルとお母さん
子供の頃、僕がまだ8才の時、ヒキガエルに遭遇した。そのヒキガエルは背中に小さな人間を乗せていた。その小さな人間は濃い赤色のツナギのような服を着ており、パッチリとした目に茶色の帽子を被っていた。僕はその小さな人間に話しかけた。
「君はだれなんだい?なんだか初めて見るんだけど」
小さな人間は答えた。頭の中にこだまする様な声だった。
「僕はミル。君らから見ると妖精と呼ばれたりするけど、何なのかは僕も分からない。君は何て名前だい?」
「僕の名前は丸也。マルちゃんって呼ばれてるよ。ヒキガエルって初めて見たけど、君も初めて見たよ。ねえ友達になれるかい?」
「もちろんいいよ。小さい子供なら大歓迎だよ。君は優しそうだしね。ねえ、明日の日が暮れる頃、もう一度ここにおいでよ。面白いものが見れるよ」
「うん、わかった!」
僕は家に帰り、その夜はワクワクして過ごした。
そして次の日、僕はまた昨日の裏庭に向かった。そこにはたくさんのカエルが集まっている。その中にミルがいた。
「これから星に向かって呼びかけるんだ。宇宙って案外近い所にあるんだよ」
しばらくするとカエル達は一斉に鳴き始めた。めいめいに色んな鳴き方をしている。ふと、星が降って来るような錯覚にとらわれた。そして僕は宙に浮いたような感覚を味わった。
しばらくして、僕は草原にいるのに気づいた。牛が食べるような草がたくさん生えている。そして夜空はいつもより鮮明で、天の川がいつもより大きく広がっていた。
「あの天の川辺りから僕はやって来たんだよ。実は君もそうなんだけどね。宇宙人って聞いた事あるかい?あれとはちょっと違うけどさ、宇宙や時間って実はグニャグニャ曲がるんだ」
そう言うとミルは、少し遠くにある小さな小屋へと向かった。木と藁のような物でできたその家から、ミルのお母さんが出てきた。大きさはミルと同じくらいで、ニコニコ笑っている。
「あら、誰か連れて来たのね。なんだか優しそうな子じゃないの。ちょうど良かった、あそこの川まで水を汲みに行って欲しいの」
僕とミルはその川を目指した。川にはたくさんの光が灯っている。水の中や川岸に色々な色の光が見えた。
「この光が僕達の栄養源なんだ。君の家の裏から来れるこの場所は、その光がたくさんあるんだ。君はいい所に住んでいるね」
ミルの言葉に僕は嬉しくなった。
「マルちゃんも食べてみるかい」
そう言うとミルは薄い水色の、光を、差し出した。
「その光を胸の中に入れるんだ。やってごらん」
僕は言われた通りに水色の光を、胸の中に入れた。すると頭の中に懐かしいイメージが浮かんで来た。それはおととし僕が見つけた秘密の場所だった。いつも遊んでいる川から少し上流に向かうと、静かな川の淵がある。そこの水は済んでいて、大きな赤いイボを備えた川魚がたくさんいた。そしてそこには水色の光がたくさん浮いていた。
「僕らは地球の生き物の、気持ち良いって心を栄養にして生きてるんだ。君はそういう心が多いね。おかげでこの辺りはほんとに輝いてるよ。天の川辺りからも見えるんだ」
「そうなんだ」
「君にはまだ分からないかもしれなけど、そういう気持ちは、これから世界中から消えて行くんだ。だから僕はこの時代に来たんだよ」
僕はその未来を想像してみたが、上手くできなかった。確かに今の僕の家の周りは綺麗だ。でも、それが天の川まで続いているなんて思いもしなかった。川辺ではアマガエルが鳴いている。
「これから君が大きくなって、もし気持ち良いって心が消えそうになったら、この淵を思い浮かべるといい。きっと君は今と同じ気持ちになるよ」
そう言うとミルは大きなバケツに川の水を汲んだ。僕らはそのバケツを持って、お母さんの小屋へと向かった。牧草が風でユラユラ揺れている。
小屋に着くとお母さんはオレンジ色の丸い光でお菓子を作っていた。
「さあ、どうぞ。マルちゃん、これを食べてごらんなさい」
僕はそのオレンジの光を、胸に当てた。すると、家の前の柿の木のイメージが浮かんで来た。
「マルちゃん、その柿の木はね、毎年あなたが登ってくれるのを、嬉しく思っていたの。ちょうど登りやすいように枝が並んでいたでしょう。それはね、あなたの為なのよ」
それを聞いて僕は嬉しくなった。
「僕はあの柿の木、とっても好きだよ。昔、膨らむ前の実を全部むしっちゃっておじいちゃんに怒られたけど」
「マルちゃん、柿の木はね、それでも喜んでいたのよ。その年は少ないけど、とっても甘い実がなったはずよ。そして、マルちゃん、その柿の木はいつか枯れちゃうけど、ずっと覚えていてあげてね。その柿の木は、マルちゃんの事がほんとに好きなの」
「うん、僕、きっと忘れないよ」
「マルちゃん、あなたのおかげで私達はここへやって来れるのよ。小さな事に思えるけど、心ってほんとにたくさんの物事の役に立ってるの。その事を大人になっても、決して忘れないでね」
僕はミルとお母さんに約束した。
「絶対に忘れないよ」
お母さんは、今度は薄いピンクの光を差し出した。
「ミルちゃん、これを胸に入れるとね、あなたは元の世界に戻るの。帰りたいと思ったら、それを胸に入れてごらん」
「僕が家に戻っても、またミルとお母さんに会えるかな?」
「そうね、雨が降り続いた後、綺麗に晴れた夕方にまた裏庭に来てごらん。また会えるかもしれないよ」
「わかった、また来る」
そう言って僕は二人にさよならをして、ピンクの光を胸に入れた。すると、赤ちゃんの頃の記憶が浮かんできた。たくさんの人が僕を見下ろしてニコニコしている。僕はだんだか眠くなっていった。
気がつくと僕は家の布団の中にいた。お母さんが僕を見ている。
「マルちゃん、夢を見てずっとニコニコしてたわね。いったいどんな夢を見ていたの?」
僕はミルとそのお母さんの話をした。お母さんは微笑みながらずっとその話を聞いていてくれた。家の外ではアマガエルが鳴いている。
子供の頃、僕がまだ8才の時、ヒキガエルに遭遇した。そのヒキガエルは背中に小さな人間を乗せていた。その小さな人間は濃い赤色のツナギのような服を着ており、パッチリとした目に茶色の帽子を被っていた。僕はその小さな人間に話しかけた。
「君はだれなんだい?なんだか初めて見るんだけど」
小さな人間は答えた。頭の中にこだまする様な声だった。
「僕はミル。君らから見ると妖精と呼ばれたりするけど、何なのかは僕も分からない。君は何て名前だい?」
「僕の名前は丸也。マルちゃんって呼ばれてるよ。ヒキガエルって初めて見たけど、君も初めて見たよ。ねえ友達になれるかい?」
「もちろんいいよ。小さい子供なら大歓迎だよ。君は優しそうだしね。ねえ、明日の日が暮れる頃、もう一度ここにおいでよ。面白いものが見れるよ」
「うん、わかった!」
僕は家に帰り、その夜はワクワクして過ごした。
そして次の日、僕はまた昨日の裏庭に向かった。そこにはたくさんのカエルが集まっている。その中にミルがいた。
「これから星に向かって呼びかけるんだ。宇宙って案外近い所にあるんだよ」
しばらくするとカエル達は一斉に鳴き始めた。めいめいに色んな鳴き方をしている。ふと、星が降って来るような錯覚にとらわれた。そして僕は宙に浮いたような感覚を味わった。
しばらくして、僕は草原にいるのに気づいた。牛が食べるような草がたくさん生えている。そして夜空はいつもより鮮明で、天の川がいつもより大きく広がっていた。
「あの天の川辺りから僕はやって来たんだよ。実は君もそうなんだけどね。宇宙人って聞いた事あるかい?あれとはちょっと違うけどさ、宇宙や時間って実はグニャグニャ曲がるんだ」
そう言うとミルは、少し遠くにある小さな小屋へと向かった。木と藁のような物でできたその家から、ミルのお母さんが出てきた。大きさはミルと同じくらいで、ニコニコ笑っている。
「あら、誰か連れて来たのね。なんだか優しそうな子じゃないの。ちょうど良かった、あそこの川まで水を汲みに行って欲しいの」
僕とミルはその川を目指した。川にはたくさんの光が灯っている。水の中や川岸に色々な色の光が見えた。
「この光が僕達の栄養源なんだ。君の家の裏から来れるこの場所は、その光がたくさんあるんだ。君はいい所に住んでいるね」
ミルの言葉に僕は嬉しくなった。
「マルちゃんも食べてみるかい」
そう言うとミルは薄い水色の、光を、差し出した。
「その光を胸の中に入れるんだ。やってごらん」
僕は言われた通りに水色の光を、胸の中に入れた。すると頭の中に懐かしいイメージが浮かんで来た。それはおととし僕が見つけた秘密の場所だった。いつも遊んでいる川から少し上流に向かうと、静かな川の淵がある。そこの水は済んでいて、大きな赤いイボを備えた川魚がたくさんいた。そしてそこには水色の光がたくさん浮いていた。
「僕らは地球の生き物の、気持ち良いって心を栄養にして生きてるんだ。君はそういう心が多いね。おかげでこの辺りはほんとに輝いてるよ。天の川辺りからも見えるんだ」
「そうなんだ」
「君にはまだ分からないかもしれなけど、そういう気持ちは、これから世界中から消えて行くんだ。だから僕はこの時代に来たんだよ」
僕はその未来を想像してみたが、上手くできなかった。確かに今の僕の家の周りは綺麗だ。でも、それが天の川まで続いているなんて思いもしなかった。川辺ではアマガエルが鳴いている。
「これから君が大きくなって、もし気持ち良いって心が消えそうになったら、この淵を思い浮かべるといい。きっと君は今と同じ気持ちになるよ」
そう言うとミルは大きなバケツに川の水を汲んだ。僕らはそのバケツを持って、お母さんの小屋へと向かった。牧草が風でユラユラ揺れている。
小屋に着くとお母さんはオレンジ色の丸い光でお菓子を作っていた。
「さあ、どうぞ。マルちゃん、これを食べてごらんなさい」
僕はそのオレンジの光を、胸に当てた。すると、家の前の柿の木のイメージが浮かんで来た。
「マルちゃん、その柿の木はね、毎年あなたが登ってくれるのを、嬉しく思っていたの。ちょうど登りやすいように枝が並んでいたでしょう。それはね、あなたの為なのよ」
それを聞いて僕は嬉しくなった。
「僕はあの柿の木、とっても好きだよ。昔、膨らむ前の実を全部むしっちゃっておじいちゃんに怒られたけど」
「マルちゃん、柿の木はね、それでも喜んでいたのよ。その年は少ないけど、とっても甘い実がなったはずよ。そして、マルちゃん、その柿の木はいつか枯れちゃうけど、ずっと覚えていてあげてね。その柿の木は、マルちゃんの事がほんとに好きなの」
「うん、僕、きっと忘れないよ」
「マルちゃん、あなたのおかげで私達はここへやって来れるのよ。小さな事に思えるけど、心ってほんとにたくさんの物事の役に立ってるの。その事を大人になっても、決して忘れないでね」
僕はミルとお母さんに約束した。
「絶対に忘れないよ」
お母さんは、今度は薄いピンクの光を差し出した。
「ミルちゃん、これを胸に入れるとね、あなたは元の世界に戻るの。帰りたいと思ったら、それを胸に入れてごらん」
「僕が家に戻っても、またミルとお母さんに会えるかな?」
「そうね、雨が降り続いた後、綺麗に晴れた夕方にまた裏庭に来てごらん。また会えるかもしれないよ」
「わかった、また来る」
そう言って僕は二人にさよならをして、ピンクの光を胸に入れた。すると、赤ちゃんの頃の記憶が浮かんできた。たくさんの人が僕を見下ろしてニコニコしている。僕はだんだか眠くなっていった。
気がつくと僕は家の布団の中にいた。お母さんが僕を見ている。
「マルちゃん、夢を見てずっとニコニコしてたわね。いったいどんな夢を見ていたの?」
僕はミルとそのお母さんの話をした。お母さんは微笑みながらずっとその話を聞いていてくれた。家の外ではアマガエルが鳴いている。
頭が空っぽになっている。
良い事かどうかもよく分からない。
2、3日小説(小説なのか?)のイメージの中で遊んでたからだろうか。
そのせいで、自分の為だけに書くモードになってしまって、ブログを書こうとするとどうも上手く書けない。
独り言みたいになってしまう。
いや、前からやん、というご指摘もあるかと思いますが、、
架空の話を書いてたら、曲ができた時と同じカタルシスを味わえた。
それがあれば充分だった。
書きたいとか、歌いたいとか、衝動があるだけでいい。
テクニックはむしろ無くて良かった。
衝動先行でいたかった。
心が満足できるかどうか。
素直な心が残るように、手段として表現という形をお借りしている。
ただ心を優先させるという事をしているのだろう。
日常から少し自分の心を解放してやる。
日常がつまらないという訳ではない。
心が一番キラキラしていた時の状態を持ちたいと望んでいる。
周りの状況に左右されずにキラキラするには、良質な孤独が必要なのだ。
人と関わりつつ、孤独になれる事。
lonelinessとsolitudeは違うらしい。
引用
ロンリネスは、社会から離れてひとりぼっちで悲しくネガティブな孤独。 それに対してソリテュードは、本来の自分らしさを取り戻すために、あえてひとりの時間を選んでつくるポジティブな孤独。
良い事かどうかもよく分からない。
2、3日小説(小説なのか?)のイメージの中で遊んでたからだろうか。
そのせいで、自分の為だけに書くモードになってしまって、ブログを書こうとするとどうも上手く書けない。
独り言みたいになってしまう。
いや、前からやん、というご指摘もあるかと思いますが、、
架空の話を書いてたら、曲ができた時と同じカタルシスを味わえた。
それがあれば充分だった。
書きたいとか、歌いたいとか、衝動があるだけでいい。
テクニックはむしろ無くて良かった。
衝動先行でいたかった。
心が満足できるかどうか。
素直な心が残るように、手段として表現という形をお借りしている。
ただ心を優先させるという事をしているのだろう。
日常から少し自分の心を解放してやる。
日常がつまらないという訳ではない。
心が一番キラキラしていた時の状態を持ちたいと望んでいる。
周りの状況に左右されずにキラキラするには、良質な孤独が必要なのだ。
人と関わりつつ、孤独になれる事。
lonelinessとsolitudeは違うらしい。
引用
ロンリネスは、社会から離れてひとりぼっちで悲しくネガティブな孤独。 それに対してソリテュードは、本来の自分らしさを取り戻すために、あえてひとりの時間を選んでつくるポジティブな孤独。
ここんとこ、こねくり回していたやつです。
これにて、いったん手放すことにします。
修正あり、9月5日
---------------------
「指相撲」
大人になる事とは、常識を形成していく事でもある。幼い頃に未知だった世界を、少しずつ紐解いてゆく過程が成長なのかもしれない。しかし、それは言い換えれば、未知だったからこそ持てた自分や他者に対する幻想を、失ってゆく過程とも言える。それ故に、子供と大人の狭間には、失われて行く幻想の最後の輝きが垣間見れる事がある。蝶になる前の蛹のように、まだ形が定まる前の、まだ何者でもない故の美しさだ。僕がそう思うようになったのは、壱子がきっかけだった。
僕は、「いずもっち」と呼ばれていた。苗字の泉から、いずみっちと呼ばれるようにになり、やがてそれはいつの間にか「いずもっち」になっていた。中学までの同級生は、たいていは僕の事を「いずもっち」と呼ぶ。自分でも気に入っていた呼び名だが、少し離れた高校に行くようになり、僕の事を「いずもっち」と呼ぶのは中学までの同級生だけになった。
大学生になり、県内の親戚の家の二階の一部屋を借り、下宿暮らしを始めた。それまで仲の良かった友人は、みんな違う進路に進み、たまに電話や手紙のやりとりをするくらいになった。なかなか大学に馴染めずにいた僕は寂しさを感じていた。これまでの楽しかった日々は、今となれば通過地点で、もう戻れない過去になってしまったんだな、と感じた。
夏になり、特にバイトをする予定もなかったので、実家のある町でのんびりと過ごす事にした。カセットテープに録音した音楽を聴きながら、実家への帰路についた。路面電車でバスセンターまで行き、そこから二時間程バスに乗れば、僕の生まれた町にたどり着く。
「いずもっち?」
乗り込んだバスの中で声をかけられた。声の主は、中学の同級生の壱子だった。白いTシャツにベージュの短パンという、ラフな格好をしていた。白いキャップが良く似合っている。
「やっぱり、いずもっち。一年ぶりー」
「壱子、家帰るとこか?」
「うん。いずもっち、一番後ろ行こ」
言われるままに、僕らはバスの後ろの席に移動した。
中学の時、僕と壱子はそれほど仲が良かった訳ではない。同じバスケ部ではあったが、壱子は当時、高嶺の花という感じで話しかけづらかった。少し親しくなったのは、去年の夏、友人の山本に誘われて一緒に海に行ったからだ。壱子は山本と交際していた。山本は、僕ともう一人、笹山も誘い、僕らは壱子を含めて四人で島根まで海水浴に行った。要は友人のデートについて行ったようなものだ。浜辺でははっぴいえんどの「風来坊」が流れていた。変な歌があるもんだと思ったので記憶に残っている。その歌と、壱子が着ていた鮮やかな赤色の水着を、よく覚えている。
「山本どうしてる?」
「うん、、あんまり知らない。」
壱子の微妙な答えに、僕はそれ以上は山本について聞かない事にした。
去年、海に行った帰りの電車の中で、壱子と山本は喧嘩をしていた。何が原因かは分からないが、よくある男女の揉め事のようだった。僕は気まずいので、疲れて寝たふりをしていた。笹山は本当に眠っているようだった。喧嘩は続き、壱子は山本の持っていたカセットテープを、電車の窓から投げ捨てた。壱子は結構激しい性格なんだなと、その時の僕は思った。
「いずもっち、大学はどう?」
「うん、実はあんまり行ってない。授業がつまんないから、ギターばっか弾いてる」
「あー、いずもっち、ギター上手かったもんね」
「そうでもないけど、弾いてると落ち着くんだ」
壱子は話しやすい相手だった。気を使わずに喋れる。友達の彼女だったというのもあるんだろう。僕らは壱子の専門学校の事、同級生の近況、当時の中学の話など、色々と話をした。
ひと通り過去や現在の話をした後で、僕は最近思っている事を話した。
「あのね、僕は中学高校とね、ずっと今を大事に生きてたの。だって今って今しかないじゃん。でも卒業したらあんなに好きだった毎日がどっか行っちゃって、もう存在しないっていう。なんか虚しくなっちゃってね」
「そうね、私もね、気に入ってる場所や人とずっと一緒に居たいのに、環境って変わっちゃうよね。環境が変わると心も変わっちゃうしね。ついてけなくなる時ってあるね」
「どうにかならんもんかね」
「どうにかならんもんですかね」
僕はため息をついた。
壱子は不意に、「いずもっち、指相撲をしよう」と言った。僕は最初はかなり照れたのだが、すぐに夢中になり、降りるバス停まで指相撲をして過ごした。なんだか小学生に戻ったようだった。
壱子は「またねー」と言って、バスを降りた。笑顔の壱子は、とても綺麗に思えた。またね、とは言ったものの、それ以来、壱子とは会っていない。
僕はその後の夏休みを、かつての友達と過ごして元気を取り戻し、秋になり大学に戻った。その夏を境に僕は自分というものを、新しく確立し始めたように思う。以前の自分が幼虫の芋虫だとしたら、蛹になり新しく自分を形成し始めたのがその夏だったように思う。その変化の時代を思う時、壱子の笑顔が脳裏に浮かぶ。特別な恋心があった訳ではないのだか、思い出すと不思議な懐かしさに囚われる。
これにて、いったん手放すことにします。
修正あり、9月5日
---------------------
「指相撲」
大人になる事とは、常識を形成していく事でもある。幼い頃に未知だった世界を、少しずつ紐解いてゆく過程が成長なのかもしれない。しかし、それは言い換えれば、未知だったからこそ持てた自分や他者に対する幻想を、失ってゆく過程とも言える。それ故に、子供と大人の狭間には、失われて行く幻想の最後の輝きが垣間見れる事がある。蝶になる前の蛹のように、まだ形が定まる前の、まだ何者でもない故の美しさだ。僕がそう思うようになったのは、壱子がきっかけだった。
僕は、「いずもっち」と呼ばれていた。苗字の泉から、いずみっちと呼ばれるようにになり、やがてそれはいつの間にか「いずもっち」になっていた。中学までの同級生は、たいていは僕の事を「いずもっち」と呼ぶ。自分でも気に入っていた呼び名だが、少し離れた高校に行くようになり、僕の事を「いずもっち」と呼ぶのは中学までの同級生だけになった。
大学生になり、県内の親戚の家の二階の一部屋を借り、下宿暮らしを始めた。それまで仲の良かった友人は、みんな違う進路に進み、たまに電話や手紙のやりとりをするくらいになった。なかなか大学に馴染めずにいた僕は寂しさを感じていた。これまでの楽しかった日々は、今となれば通過地点で、もう戻れない過去になってしまったんだな、と感じた。
夏になり、特にバイトをする予定もなかったので、実家のある町でのんびりと過ごす事にした。カセットテープに録音した音楽を聴きながら、実家への帰路についた。路面電車でバスセンターまで行き、そこから二時間程バスに乗れば、僕の生まれた町にたどり着く。
「いずもっち?」
乗り込んだバスの中で声をかけられた。声の主は、中学の同級生の壱子だった。白いTシャツにベージュの短パンという、ラフな格好をしていた。白いキャップが良く似合っている。
「やっぱり、いずもっち。一年ぶりー」
「壱子、家帰るとこか?」
「うん。いずもっち、一番後ろ行こ」
言われるままに、僕らはバスの後ろの席に移動した。
中学の時、僕と壱子はそれほど仲が良かった訳ではない。同じバスケ部ではあったが、壱子は当時、高嶺の花という感じで話しかけづらかった。少し親しくなったのは、去年の夏、友人の山本に誘われて一緒に海に行ったからだ。壱子は山本と交際していた。山本は、僕ともう一人、笹山も誘い、僕らは壱子を含めて四人で島根まで海水浴に行った。要は友人のデートについて行ったようなものだ。浜辺でははっぴいえんどの「風来坊」が流れていた。変な歌があるもんだと思ったので記憶に残っている。その歌と、壱子が着ていた鮮やかな赤色の水着を、よく覚えている。
「山本どうしてる?」
「うん、、あんまり知らない。」
壱子の微妙な答えに、僕はそれ以上は山本について聞かない事にした。
去年、海に行った帰りの電車の中で、壱子と山本は喧嘩をしていた。何が原因かは分からないが、よくある男女の揉め事のようだった。僕は気まずいので、疲れて寝たふりをしていた。笹山は本当に眠っているようだった。喧嘩は続き、壱子は山本の持っていたカセットテープを、電車の窓から投げ捨てた。壱子は結構激しい性格なんだなと、その時の僕は思った。
「いずもっち、大学はどう?」
「うん、実はあんまり行ってない。授業がつまんないから、ギターばっか弾いてる」
「あー、いずもっち、ギター上手かったもんね」
「そうでもないけど、弾いてると落ち着くんだ」
壱子は話しやすい相手だった。気を使わずに喋れる。友達の彼女だったというのもあるんだろう。僕らは壱子の専門学校の事、同級生の近況、当時の中学の話など、色々と話をした。
ひと通り過去や現在の話をした後で、僕は最近思っている事を話した。
「あのね、僕は中学高校とね、ずっと今を大事に生きてたの。だって今って今しかないじゃん。でも卒業したらあんなに好きだった毎日がどっか行っちゃって、もう存在しないっていう。なんか虚しくなっちゃってね」
「そうね、私もね、気に入ってる場所や人とずっと一緒に居たいのに、環境って変わっちゃうよね。環境が変わると心も変わっちゃうしね。ついてけなくなる時ってあるね」
「どうにかならんもんかね」
「どうにかならんもんですかね」
僕はため息をついた。
壱子は不意に、「いずもっち、指相撲をしよう」と言った。僕は最初はかなり照れたのだが、すぐに夢中になり、降りるバス停まで指相撲をして過ごした。なんだか小学生に戻ったようだった。
壱子は「またねー」と言って、バスを降りた。笑顔の壱子は、とても綺麗に思えた。またね、とは言ったものの、それ以来、壱子とは会っていない。
僕はその後の夏休みを、かつての友達と過ごして元気を取り戻し、秋になり大学に戻った。その夏を境に僕は自分というものを、新しく確立し始めたように思う。以前の自分が幼虫の芋虫だとしたら、蛹になり新しく自分を形成し始めたのがその夏だったように思う。その変化の時代を思う時、壱子の笑顔が脳裏に浮かぶ。特別な恋心があった訳ではないのだか、思い出すと不思議な懐かしさに囚われる。
高校の時の寮の友達の、"うみお"の事を思い出していた。
こないだ夢に出てきて、少し嬉しかったのだ。
うみおとは寮でよくつるんでいた。
彼はゴルゴ13が好きだったんだけど、高校生にしてはシブ過ぎて恥ずかしいと勝手に思っていて、こっそりと隠れて読んでいた。
僕も付き合ってゴルゴ13を読み、二人で隠れゴルゴと呼んでいた。
「消灯後、隠れゴルゴしようぜ」みたいな感じに楽しんでた。
こんな事もあった。
僕と同室だったパンチが(あだ名)無修正のエロ本を手に入れ、夜中に見ようぜって言って、消灯後にこっそりうみおと僕とでパンチの個室を訪れた。
「マジか、こんなんか、、」と言ってた気がする。
ショックが強すぎたようだ、、
次の日、体育の授業で女子を見ながら、「みんな、あんなんなんじゃの、、」と二人で黄昏てた。
アホだった、、
僕が同じクラスの娘に「好きだけど、○○くんと付き合ってるから付き合えない。でも一番好き」という訳の分からん告白をされた事があった。
その時は、うみおが朝まで話を聞いてくれた。
次の日、二人で寝不足でふらふらだった。
ありがたかった。
寮の二年生が修学旅行に行き、寮が一年生だけになった時、朝まで酒を飲み、吐いて、次の日の遠足では、二人でベンチで寝てた。後から皆んなに、からかわれた。
酒を飲んでた時、誰かが「うみおは、すごい美人と結婚しそう」と言った時の嬉しそうなにやけ顔も忘れられない。
卒業後に久しぶりに会ったら、今はブルースマンのブラインド・ウィリー・ジョンソンを良く聴いてると言っていた。
シブ過ぎて、うみおらしいと思った。
寮の静粛時間という、勉強する時間に二階と一階で個室の窓を開けて話をしたりした。
思い出せば、寮で楽しかった事はたくさんある。
面白い人もたくさんいた。
こないだ夢に出てきて、少し嬉しかったのだ。
うみおとは寮でよくつるんでいた。
彼はゴルゴ13が好きだったんだけど、高校生にしてはシブ過ぎて恥ずかしいと勝手に思っていて、こっそりと隠れて読んでいた。
僕も付き合ってゴルゴ13を読み、二人で隠れゴルゴと呼んでいた。
「消灯後、隠れゴルゴしようぜ」みたいな感じに楽しんでた。
こんな事もあった。
僕と同室だったパンチが(あだ名)無修正のエロ本を手に入れ、夜中に見ようぜって言って、消灯後にこっそりうみおと僕とでパンチの個室を訪れた。
「マジか、こんなんか、、」と言ってた気がする。
ショックが強すぎたようだ、、
次の日、体育の授業で女子を見ながら、「みんな、あんなんなんじゃの、、」と二人で黄昏てた。
アホだった、、
僕が同じクラスの娘に「好きだけど、○○くんと付き合ってるから付き合えない。でも一番好き」という訳の分からん告白をされた事があった。
その時は、うみおが朝まで話を聞いてくれた。
次の日、二人で寝不足でふらふらだった。
ありがたかった。
寮の二年生が修学旅行に行き、寮が一年生だけになった時、朝まで酒を飲み、吐いて、次の日の遠足では、二人でベンチで寝てた。後から皆んなに、からかわれた。
酒を飲んでた時、誰かが「うみおは、すごい美人と結婚しそう」と言った時の嬉しそうなにやけ顔も忘れられない。
卒業後に久しぶりに会ったら、今はブルースマンのブラインド・ウィリー・ジョンソンを良く聴いてると言っていた。
シブ過ぎて、うみおらしいと思った。
寮の静粛時間という、勉強する時間に二階と一階で個室の窓を開けて話をしたりした。
思い出せば、寮で楽しかった事はたくさんある。
面白い人もたくさんいた。
ブログを書こうとしても、何も出てこなくなった。
昨日は、短編の小説を書こうとしてた。
小説を書きたい訳ではなくて、微妙な感情と心を再現してみたいという動機で文章を書いていた。
そういうのには、テクニックがいるなと思った。
必要で無い事を書くと、気分がそっちに行ってしまうし、難しかった。
でも、書く事自体はとても楽しい。
浸りたい世界の中に長時間いる事が出来る。
仕事中も頭の中で、その世界をこねくり回していた。
ただ、それを文章で仕上げるのが難しかった。
昨日は、短編の小説を書こうとしてた。
小説を書きたい訳ではなくて、微妙な感情と心を再現してみたいという動機で文章を書いていた。
そういうのには、テクニックがいるなと思った。
必要で無い事を書くと、気分がそっちに行ってしまうし、難しかった。
でも、書く事自体はとても楽しい。
浸りたい世界の中に長時間いる事が出来る。
仕事中も頭の中で、その世界をこねくり回していた。
ただ、それを文章で仕上げるのが難しかった。
パソコンのハードディスクの容量か足りなくなっていて、アルバム1枚を取り込めないくらいになっていた。
あんまり不便なんで、ネットである程度調べて、手動で一時ファイルを全部消してみた。
今のところ、それほど問題なく動いている。
人の脳や心にも、そんな不要ファイルみたいなもんが溜まって、容量いっぱいになったりするんじゃないかな。
それで体壊したり、心を病んだりしそう。
そうのを溜め込まないようにしたい。
20歳前後の気分を、文章にできないか試してた。
難しくて止まってたが、良い夢を見た。
広島と大阪の混ざった、夢の中だけのよく知ってる地理の中で、現実には全然知らない懐かしい人とライブハウスで再会して、話しながら街を歩く、という夢。
誰かの解散ライブの後で、かっこいい開けっぴろげな女性だった。
だから何だ?つ〜話だが、、
当時の気分を夢で味わえた。
あんまり不便なんで、ネットである程度調べて、手動で一時ファイルを全部消してみた。
今のところ、それほど問題なく動いている。
人の脳や心にも、そんな不要ファイルみたいなもんが溜まって、容量いっぱいになったりするんじゃないかな。
それで体壊したり、心を病んだりしそう。
そうのを溜め込まないようにしたい。
20歳前後の気分を、文章にできないか試してた。
難しくて止まってたが、良い夢を見た。
広島と大阪の混ざった、夢の中だけのよく知ってる地理の中で、現実には全然知らない懐かしい人とライブハウスで再会して、話しながら街を歩く、という夢。
誰かの解散ライブの後で、かっこいい開けっぴろげな女性だった。
だから何だ?つ〜話だが、、
当時の気分を夢で味わえた。